伊豆の木で家を建てる会
(健康な暮らしと環境のための情報誌)
【山林が手入れされず荒廃している】
1.やすらぎをもたらす木の空間
2.学校でも見直される木
3.健康で安全な木造建築
4.木の家は地球温暖化を防ぐ
5.国内外の木材の現状と地球温暖化
6.国産材はすぐれている
7.屋内外の空気汚染の歴史
8.シックハウス症候群
9.地元の杉・桧を使った木と土の家に住む(天城の家)
10.国産材(杉・桧)と土で家を建てる!
11.国産材(杉・桧)で建てる家は高いのか?
家族の健康と環境に優しい住宅を建てるために知っておきたい知識!
9.地元の杉・桧を使った木と土の家に住む(天城の家)
【健康で安心に暮らせる家!】
構造材はもちろん、床
・壁・天井・建具など内装材にも天然無垢材を豊富に使用
します。
特に柱は天竜の桧を使い、土台は天城の桧(丸太で仕入れたものを大きめに挽き、
天然乾燥させてから修正挽きをしたもの)使用します。
桁や母屋などは天城の杉を使います。
水分の多い杉に関しては、弊社の取引先の林業業者が
秋から冬(10月から1月頃)
にかけて、木を伐採し、枝・葉を付けたまま3ヶ月くらい山においておきます。
枝に付いた杉の葉から木の水分が抜けてきた頃、枝を落して丸太をたま切り、
弊社に納入してもらいます。(このような丸太を葉枯らし材と言います)
現在は、人件費が高いわりに、杉・桧を始めとする国産材の丸太の値段が
上がらないので、経費を抑えるために葉枯らしをかけずに、木を伐採したら、
すぐに山から出荷する業者がほとんどです。
そのため、生材を製材して出荷するか、化石燃料や木材チップなどを使い、
製品を人工乾燥させます。(人件費より燃料代の方が安いということでしょう)
弊社では、その
葉枯らし材を大きめに製材してから、自社の倉庫や棚に置き、
一年以上天然乾燥させて、含水率が10%台になってから、修正挽きをして出荷します。
このようにして製品にした天城の杉材は、粘りも強く、化粧に見せても、
高温で乾燥して油気の抜けた人工乾燥材とは、色艶がぜんぜん違います
。
また、他社ではほとんど家を建てるときの構造材の加工を、
機械加工(プレカット加工)しています。
最近では、職人である大工さんまで単価が安いという理由で構造材の加工を
プレカット工場に出してしまいます。
弊社では、自分達で長年、製材工場を営んできた経験から、腕のよい大工さんを
たくさん知っています。
その様な大工さんは自分の手で木材を加工し、家を建てます。
もちろん、弊社の注文住宅は100%大工さんの手加工です。
手間がかかっても、生きた木材を扱うには、木の癖を見ながら、
加工のできる職人の作業が不可欠だと考えています。
木造在来工法の場合、土台・桁・柱などの構造材の加工が、建築する家の頑丈さなど、
家の基本的性能を大きく左右します。
プレカット加工による工期短縮などのコスト削減より、職人が手間をかけた家に
長く住んでもらい、現在、平均25年位と言われる日本の住宅の寿命を、
50〜60年もつようにすれば、その家を建築するために伐採した木の後に、
植林した木がまた建築材料として使える大きさになります。
このようなサイクルを続けることにより自然環境への負荷を極力少なくしながら、
よい家を建てることが可能になると思います。
【棚で杉の桁を自然乾燥している】
【国産材自然乾燥の欠点】
葉枯らし材は、その木の倒れた場所の日当たりや天気、
他の木の下敷きになったりして、水分の抜け具合が一定しません。
ですから含水率を一定以内に下げるため、工場で製材した後一年以上、
天然乾燥におく場合もあります。
そのため、製造できる建築材料が限られてしまうことです。
今のところ年間5〜6棟位しか建築できる能力がありません。
現在、生産状況を改善しているところですが、それでも、このように手間のかかる
作業をする製材工場は私どもだけですので、製造量は限られます。
地元の製材工場で仲間を増やしていけたらと考えています。
また、杉・桧の自然乾燥材の場合、建築後の空気中の水分量の変化により、
伸び・縮じみ・割れ・狂いは発生します。
それだけ住宅内部の湿度を調節する機能がはたらいているということです。
弊社ではその対策として、以下2つの事を実践します。
1つ目は上記のように、時間をかけ自然乾燥させ狂いを出来るだけ抜いておく事です。
2つ目は構造材の加工をプレカットではなく、熟練の大工さんの手で木の癖を見ながら
加工してもらう事です。
出来るだけ自然のままの木材を使うためには欠かせない作業だと思っています。
しかしそれでも木の狂いや伸び縮みは出てきます。
それがまったく無いということは快適な家作りに必要な木の調湿性が無い事になります。
特にエアコンを使う現在のライフスタイルでは多少の事は許容してもらわなければ
いけません。