伊豆の木で家を建てる会 (健康な暮らしと環境のための情報誌)
【山林が手入れされず荒廃している】
1.やすらぎをもたらす木の空間    2.学校でも見直される木
3.健康で安全な木造建築    4.木の家は地球温暖化を防ぐ
5.国内外の木材の現状と地球温暖化    6.国産材はすぐれている
7.屋内外の空気汚染の歴史    8.シックハウス症候群
9.地元の杉・桧を使った木と土の家に住む(天城の家)   10.国産材(杉・桧)と土で家を建てる!
11.国産材(杉・桧)で建てる家は高いのか?

家族の健康と環境に優しい住宅を建てるために知っておきたい知識!

 

3.健康で安全な木造建築

近年「シックハウス症候群」ということが問題になっています。
これは、壁や床に用いるビニールクロスや合板などに含まれる化学物質が、
室内に発散し、アレルギー反応を引き起こすものと考えられています。

このため、木や土壁、漆喰などの天然素材が改めて注目を集めています。

木や土壁などは、毒性物質を出さないばかりでなく、埃を吸着し、空気を清浄に保つ
働きも持っていますし、湿度の調節機能も持っています。

林総合研究所の実験では、ヒノキやヒバが発散する芳香は、ダニの活動を抑える
働きがあることが解明されています

ダニを通気穴のある容器に入れてチップの上に置き、ダニの行動がどうなるのかを
調べると、ヒノキ・ヒバでは、明らかに活動が抑制されたのです。
ダニの死骸や糞はアレルギーの原因になりますので、こういった木を床や壁に使えば、
かなりの改善になるのではないでしょうか。

加えて、ビニールのクッションフロアの床は、人の体から落ちるフケや垢などを
空気が動くたびに舞い上がらせてしまいますが、木の床は埃が舞いにくいため、
その点でもアレルギー対策にはいいはずです。

また、無垢の木で敷き詰められた床は、堅い合板のフローリングと違って、
柔らかさを持っているため膝への負担が少なくなり、お年寄りにはとてもよいものです。
杉の床板などは、家の中を素足で歩きたくなる心地よさです。

これは、貼り合わせの化学建材では出来ない感触です。

木の家は、燃えやすいと思っておられる方もいらっしゃるでしょうが、
それは必ずしも正しいわけではありません。
木材は、ある程度の厚みがあれば、燃え抜ける速度が遅くなります。
長い年月をかけて育成された木材の柱や梁は、表面だけ焼けてもむしろそれが
炭化して断熱層を作るため、芯が残り、簡単に崩壊することはありません。

逆に火に強いと思われがちな鉄筋コンクリートも、大きな火災では熱によって
劣化してしまいます。
石膏ボードは、一定の高温になると急激に脱落したり、ビニールクロスは毒性の強い
ガスを出したりするので、逆に危険性が増すこともあります。

火事による被害の大きさは、建物の素材よりも、むしろ室内にあるものの燃えやすさ、
毒性ガスの発生量、避難のしやすさなどに大きく左右されるものです。

地震による倒壊も、きちんとした(構造計算がされている)設計・施工がなされ、
日常の管理をしていれば、防ぐこともできるものです。
設計者が無知であったり、施工がいい加減だったり、日々の手入れを怠って
土台などを腐らせたりしていては、地震に耐えられませんが同じことは
鉄筋コンクリートや鉄骨の建造物にも言えることです。

木の家は、鉄骨や鉄筋コンクリートに比べて軽いという利点もあります。
木は無数のパイプを束ねた「ハニカム構造」というものになっていて強度があるため、
木材は鉄骨の六割ほどの重さで同じだけの荷重を支えることができます。

地震の際に作用する力は、二階以上の部分にどれだけの重さがあるかによって
大きく異なりますから、軽い木の家はその意味でも安全です。