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天城湯ヶ島
伝統工芸ー熱海楠細工。
樟脳香る、美しい無垢へのこだわり。
熱海楠細工とは・・・
熱海を含め、伊豆には楠が豊富に自生していました。
天保8年(1837年)熱海不動沢で台風により楠の巨木が倒れ、村人が漁業の傍ら、
その木で日用品を作ったことが楠細工の始まりと言われています。
温泉湯治客の間で工芸品が評判となり、しだいに大きな箪笥から煙草盆など小物まで
作られるようになりました。
江戸指物の流れを汲む確かな技術と、漆の美しさから海外に輸出した時期もあり、
34の事業所がありましたが、現在は3事業所のみが作り続けており、静岡県認定の
伝統工芸品になっております。
楠とは・・・
高さ30mにまでになる常緑の高木。庭園樹、街路樹として広く植えられ、樟脳採取のために
植栽されるものもあります。
長命で、天延記念物に指定されている、巨樹銘木も多く見られます。
材はやや軽軟から中庸。耐久性・耐害虫性が高く、天井材・床材・寺社建築・家具・器具・
楽器」・彫刻などに使われています。
木材と葉から樟脳が採取され、気分を爽快にするだけでなく、さまざまな薬用効果もあります。
修理について・・・・
熱海楠細工の工芸品は、もともと堅牢な作りで、100〜200年以上はもつものですが、
乾燥の度合いや、使い方によって修理が必要なこともあります。
無垢の楠の家具は、何度か削り直しができ、修理が可能です。
また膠(にかわ)で組み立てたものは、スチームで膠を戻すことができ、分解できます。
修理の際も、気軽に相談できます。
。
楠を製材して、自然乾燥しています。
細かい細工をするので、数年単位で乾燥させ、
加工時の狂いや収縮を少なくします。
菊ホゾと呼ばれる継手です。
建築関係の大工さんなどは、使わない継手です。
天秤ホゾと呼ばれる継手です。
手間がかかりますが、時間をかけていい仕事を
しています。
楠で作った裁縫箱です。
完成後、数年経ちますが、いまだに楠の香りが
します。
楠で作った書類などをしまうための箱です。
箱の角の菊ホゾで組んでいます。
同じ楠の箱ですが、表面に漆を塗っています。
楠工房を紹介した理由
今はホームセンターや安売りの家具屋さんに行くと、おが屑を接着剤で固めて作ったような
パーティクルボードに木目のプリントを貼った板で、作った家具がほとんどです。
木の香りは無く、接着剤などの化学物質の匂いが、鼻を突きます。
誰でも簡単に組み立てられ、安いですが、長持ちはしません。
楠を使い、熟練の職人さんが作った家具は、一生使えます。
楠工房さんの作業所に行くと、楠から出る樟脳の香りが、一面に漂っています。
この香りがすると、とても落ち着きます。
以前に比べると、楠細工の職人さんは、激減しましたが、この伝統工芸を是非、
後世に残してほしいと思って紹介しています。
また、このような家具や小物を持つことにより、無垢の木の良さを実感してほしいと
思っています。
楠 工 房
静岡県田方郡函南町桑原1300−269
TEL 055−974−3731